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    ダルマダースの『インド講座』

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    デヴィ・プラサード・ソーンカル(2)

    2016 - 08/22 [Mon] - 19:10

    サントゥール奏者・製作者のデヴィさんは、ガンジス河を見下ろす古い宮殿跡の一室を「工房」として借り、一人閉じこもって、毎日、楽器の鳴りの研究に余念がありません。

    P1010692.jpg

    壁にはいろいろな工具が掛けてあり、床には、ボディーのワックス掛けが終わりほぼ完成したサントゥールや、弦を張る側面を改良するための試作品や、いろいろな段階のサントゥールが置かれています。

    P1010694.jpg

    新作のサントゥールは、ボディーのワックス掛けが終わり、弦が張られ、まもなく最初の音が鳴らされようとしています。

    santur bridge


    「タール(弦)を持ち上げる駒を『ブリッジ』といいます。チェスの駒みたいでしょ。これは挟んでいるだけで、ボディーに接着させたりはしません。ボディーは『トゥーン』という木を使っています。最低3年は乾燥させます。10年乾燥させる場合もあります。ティーク材を使うこともありますが、トゥーンより仕上がりが重くなります。音の響きは、材質よりも、乾燥の度合いの方が影響が大きいです。」

    santur karakusa


    「ボディーにデザインするのは今回が初めてです。デリーのリッキ・ラームで製作され、バジャン・サポーリさんが所有するサントゥールのボディーの中央に、植木鉢から樹木が生えているようなデザインのものを見たことがあります。今回私がデザインしたのは『ジャメワール(唐草文様)』で、カシミールの典型的なデザインです。私は以前サリーのデザイナーをしていたので、ボディーの装飾に関しては自信があります。私は、できるだけピュアな、カシミーリー・スタイルのサントゥールを製作したいと願っています。」

    santur devi sign


    「ボディーの脇、タール(弦)を締めているのが『チャビ(鍵)』です。それを閉める取っ手の方も『チャビ』と言います。いったん全ての弦をボディーに張り、そして、一つづつ緩めながら『ブリッジ』を挟んでいきます。」

    santur chabi


    「手前(体側)から五番目が『チカリ』です。『センター(中央)』とも言いますが、アーラープの途中でなど、一つのフレーズが終了したら、チョンと『チカリ』をたたきます。休符の様に、気分を変えるために、チョン。『チカリ』には弦は4本使います。その他は、弦は3本です。」

    santur kalam


    「演奏するために、手に構えてる方を『カラム』と言います。英語で『ストリンジャー』。『カラム』は、ご存知のように、ペンですよね。紙に書くペン。私は以前『チャリ(叩く物)』と呼んでいました。そしたら、シヴ・クマール師匠に「デヴィさん、叩いちゃダメです。描くのです。サントゥールと言う楽器でラーガを描く、そのためのペンですよ。『カラム』と呼んでください。」と言われました。・・・一つ一つのものに愛情をこめる、師匠の言葉は美しいです。」



    インド古典音楽界の重鎮、パンディット・シヴクマール・シャルマ氏はベナレスにもしばしば演奏にいらっしゃいます。ステージは妥協なく、繊細微妙なサントゥールの音が最高に表現できるように、マイクやスピーカーの調整に余念がありません。私も、これまでにたびたび、氏の演奏会に出かけましたが、毎回、音響技術者(PA)と長いやり取りをし、観客はしばしば痺れを切らされてしまいます。マイク調整をすると、音あわせ(調弦)が始まり、またまた観客は演奏を待たされてしまいます。

    ざわざわしている客席、携帯電話で話し始めるプレスの人達を尻目に、シヴクマール・シャルマ氏はマイクを取って話し始めました。

    「・・・その昔、まだインドがイギリスの植民地だったころ、インド音楽の演奏家集団がロンドンに行きました。私の父もロンドンに演奏旅行をしたことがあるのですが、当時の西欧世界ではインド音楽はまったく知られていませんでした。マイクは調整するほどのものでなかったのですが、サントゥールはご覧のようにたくさんのチャビ(調弦棒)があって、一つづつ音を決めていくのに時間がかかります。演奏の始まる前、あんまり時間がかかったんでね、西欧人のお客さんは、チューニング中にほとんど全員、出て行ってしまったそうです。インド音楽は退屈だって言いながらね。」

    「しかし、私もしばしば演奏旅行でアメリカやヨーロッパに行きますが、今の西欧のお客さんは違います。チューニングしている時も、ものすごい静寂で、小声で『ラーガはラゲシュワリではないか』とか声がかかってくるんです。彼らは、十分にインド音楽の楽しみ方を知っていますね。この会場にも、音楽を勉強している外国の方がたくさんおられます。彼らの楽しみを、奪わないで下さいね・・・。」

    しいんとなった会場で、シヴクマール・シャルマ氏はマイクを戻し、最後のチューニングを終え、アカンパニストと一瞬眼を合わせ、演奏を始めました。
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